春や秋の、心地よい季節。家の窓を大きく開け放ち、爽やかな風を室内に取り込むのは、何とも言えない、至福のひとときです。しかし、その心地よさと引き換えに、私たちは、しばしば、ある悩みに直面します。それは、室内に生まれた風の通り道によって、部屋のドアが、突然「バタン!」と、心臓に悪い音を立てて、勢いよく閉まってしまう、という現象です。これは、単にうるさいだけでなく、子供が指を挟んだり、ドアや壁を傷つけたりする、危険もはらんでいます。しかし、いくつかの「賢い換気術」を実践するだけで、この問題を、大幅に軽減することが可能です。まず、最も基本的な対策が、「風の通り道をコントロールする」ことです。ドアがバタンと閉まるのは、主に、開けた窓と、その対角線上にある、別の開口部(別の窓や、換気扇など)との間に、一直線の風の通り道ができてしまうことが原因です。そのため、換気をする際には、一気に、複数の窓を全開にするのではなく、まずは、一つの窓だけを開けてみる。あるいは、対角線上ではなく、同じ壁面にある、隣同士の窓を開ける、といった工夫をすることで、室内の空気の流れを、穏やかにすることができます。また、窓を開ける「幅」を調整することも、非常に有効です。窓を全開にするのではなく、数センチだけ開けるようにすれば、取り込める風の量は減りますが、突風による、急激な気圧の変化を防ぐことができます。窓に、一定の幅で固定できる、ストッパーが付いている場合は、ぜひ活用しましょう。そして、どうしても、複数の窓を開けて、効率的に換気を行いたい、という場合には、あらかじめ、バタンと閉まりそうなドアを、「ドアストッパー」で、物理的に固定してしまうのが、最も確実で、安全な方法です。床に置くタイプの、簡単なもので構いません。換気中は、ストッパーでドアを開けっ放しにしておく。この、たった一つの習慣が、風によるドアの暴走を防ぎ、心地よい換気と、家の静けさを、両立させてくれるのです。
風でドアがバタン!を防ぐ賢い換気術