玄関ドアや、比較的重い室内のドアの上部に、アームのような形をした、金属製の装置が付いているのを見たことがあるでしょうか。これが、「ドアクローザー」です。この装置は、油圧の力を使って、開いたドアが、自動で、そしてゆっくりと閉まるように、その速度を制御するという、非常に重要な役割を担っています。もし、あなたの家のドアが、以前はゆっくり閉まっていたのに、最近になって、急に「バタン!」と、勢いよく閉まるようになったとしたら、その原因は、このドアクローザーの「調整のズレ」か、「寿命」である可能性が、極めて高いです。そして、その多くは、簡単な調整で、元の静かな状態に戻すことができます。まず、ドアクローザーの本体の側面を見てください。そこに、プラスドライバーで回せる、いくつかの「調整弁(ネジ)」があるはずです。このネジが、ドアが閉まる速度をコントロールしています。多くの場合、ネジは二つか三つあり、それぞれが、ドアが閉まる際の、異なる区間の速度を調整する役割を持っています。例えば、「第一速度区間」は、ドアが全開の状態から、閉まる直前までの、全体の速度を調整します。「第二速度区間」は、ドアが閉まる、最後の十数センチの区間の、閉じる速度(ラッチングアクション)を調整します。ドアが、全体的に速く閉まる場合は、第一速度のネジを、閉まる直前に、特に勢いがつく場合は、第二速度のネジを、調整します。調整方法は、至ってシンプルです。ドライバーを使って、そのネジを「時計回り」に、ほんの少し(例えば、五度から十度程度)だけ回すと、油の流量が絞られ、ドアはゆっくり閉まるようになります。逆に、「反時計回り」に回すと、速くなります。この時、絶対にやってはいけないのが、ネジを、一気に何回転もさせたり、完全に緩めきってしまったりすることです。内部の油が、勢いよく噴き出し、油圧が効かなくなって、故障の原因となります。あくまで、少し回しては、ドアの閉まり具合を確認する、という作業を、根気よく繰り返すことが、成功の秘訣です。
ドアクローザーの調整でバタンと閉まるのを直す